制吐薬の副作用 を吐き気のメカニズムから考えてみましょう。
- がん患者の吐き気には多くの原因があり、制吐薬が効果的とは限りません。
- 制吐薬はどの受容体に作用するかを意識しながら投与しましょう。
目次
制吐薬の副作用
オピオイド
皆さんはそもそも医療用麻薬のオピオイドを投与されている際、あるいはオピオイドを投与する際、ノバミン(制吐薬)を必ず併用すると、思っていませんか?
オピオイドは、主にがんの痛みをとる緩和医療で使用されています。
このオピオイドの副作用で吐き気が起こるのですが、がん患者に起こる吐き気には、ほかにも原因が様々あります。
吐き気にはがんに関連したいくつもの原因があるので、単純に制吐薬の投与だけに頼ってしまうと、他の原因を見逃してしまって、対策に遅れをとってしまうことがあります。
また、前述したアカシジアを引き起こす恐れもあるので、必ず吐き気の原因を1つひとつ消去法で確認していきましょう!
薬剤による吐き気の能性が高いと判断できた段階で、はじめて制吐薬の使用を検討しましょう。
制吐薬はメカニズムにより使い分ける
制吐薬は吐き気のメカニズムによって使い分ける必要があります。吐き気をきたしている患者に、注意深い観察は欠かせません。
吐き気をきたすメカニズムはいくつかあります。ただ、それぞれに関連する受容体が存在するので、制吐薬を選択する際は、その薬剤がどの受容体に対して作用しているのか(=親和性)を意識しましょう。
無効であった場合には他経路の受容体に作用する薬剤を選択するようにしましょう。例えば、頭を動かしたとき(振り向く、うなずく、寝返りをうつなど)に吐き気を催す場合は、「前庭器の興奮」が引き起こしている吐き気です。
このため、薬剤はヒスタミンHi受容体に作用する抗ヒスタミン薬(トラペルミン、ポララミンなど)が第一選択となります。なおベッド上に1日中いるような患者でも、前庭器の三半規管を傾けるような行為が伴っていれば発症するので、痛みの評価時に判定基準として使用される[体動時の痛み]と「体動時の吐き気」を混同しないようにしましょう。
近年、オピオイドがもたらす吐き気はヒスタミンHi受容体とドパミンD2受容体が混在していることが報告されています。このため、次項で述べるような1剤で複数の受容体に作用する制吐薬も使用されるようになってきました。
がん患者の吐き気の主な原因
消化器系の異常 (がんによる影響、潰瘍、イレウス、消化管運動抑制による胃内容物の滞留など) |
便秘による宿便 | 薬剤性 (抗がん薬、オピオイドなど) |
代謝異常 (尿毒症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、肝不全) |
体液異常 (腹水など) |
感染症 |
前庭神経を介したもの (オピオイド、聴神経腫瘍、中耳炎、前庭神経炎など) |
大脳皮質の刺激 (脳腫瘍、脳浮腫) |
心因性 (うつなど) |
最近使われ始めた新しい制吐薬
最近では、ドパミンD2・ヒスタミンHiが混在した難治性の吐き気が報告されるようになって、ルーランやジプレキサ、セロクェルがオピオイドの吐き気対策に登場するようになってきましたね。
これらの薬剤はさまざまな受容体に作用するマルチターゲットにデザインされた新規抗精神薬です。
それぞれに各受容への親和性が異なるので、一律にどの患者にも効果があるわけではありません。患者に合った薬剤の選択がやはり必要となってきます。薬剤を変更する際には、受容体親和既のプロファイルが似たものは避けたほうがいいですね。また、患者さんの経済的な負担もあるかと思います、ぜひ考慮に入れるようにしましょう。
緩和医療だけでなく、さまざまな医療行為のなかで、主薬の副作用を軽減するための副作用対策薬が併用されています。ですが、その副作用対策薬がもつ副作用は見逃されがちです。これには現場での、細かい患者の観察が欠かせません。
「効果」の面だけにとらわれず、副作用を防止する観点からも、使用されている薬剤の特徴などは必ずつかんでおきましょうね。
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参考元:エキスパートナース(2012年1月号)
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