看護師の退職金 はいくらが妥当なのでしょうか。
転職を考えるときに同時に考えなければいけないのが退職金についてですよね。
でも、実際いくら位が平均なのかをほとんどの看護師さんが把握していないのが現状です。
看護師の退職金
今回は職業別、勤続年数別、雇用施設別に退職金を比較して見ていきます!
すでに転職した看護師さんは自分の受け取った退職金が妥当な額なのかどうか、
これから転職しようとしている看護師さんは退職金の目安をつけるためにもこの記事を読んでくださいね。
退職金の算出方法
実は退職金制度というのは法律で定められているものではなく、企業や病院がそれぞれ独自に設けている制度です。
そのため退職金の算出方法はどの病院でも一律というわけではなく、病院によってそれぞれ異なります。
代表的な算出方法は以下の4種類です。
- 基本給×勤続年数
- 勤続年数×固定金
- 勤続年数に応じて退職金が定められている
- 基本給×勤続年数×功績倍率
この方法の場合、退職時に基本給20万で5年勤続した場合、退職金は
退職時の基本給20万円× 勤続年数5年= 退職金100万円
となります。
この方法の場合、病院側が決めた固定金に勤続年数を掛け合わせたものが退職金となります。
固定金15万円で10年勤続した場合、退職金は
勤続年数10年× 固定金15万= 退職金150万円
となります。
この方法では、病院側によって勤続年数に応じた退職金が決められており、それに従った金額を退職金として受け取ります。
この場合、各病院の就業規則に勤続年数毎の退職金金額に関する記載があるので、自分がいくら受け取れるのか確認することができます。
この計算方法では、基本給×勤続年数の金額にさらに功績倍率を掛け合わせて退職金が算出されます。
功績倍率とは、看護師が職場に貢献した成果、病院側から見た評価を表す指標です。
1を基準にした指数で、功績倍率が1を上回ればその分退職金の金額は上がりますが、1を下回ってしまうと退職金は下がってしまいます。
勤続年数が10年、基本給が20万、功績係数が1.3の場合、退職金は
基本給20万円× 勤続年数10年× 功績係数1.3倍= 退職金260万円
となります。
勤続年数別に退職金を比較
次に勤続年数別に退職金を比較していきます。
勤続年数 | 退職金 |
---|---|
5年未満 | 約20~100万円 |
5~10年 | 約101~250万円 |
10~20年 | 約251~600万円 |
20~30年 | 約601~900万円 |
ほとんどの病院では勤続3年以下の病院では退職金が出ないため、3年以上の勤続した看護師が退職金受給対象となります。
看護師の初任給は約20万円からスタートし、勤務年数が長くなるほど給料は上がります。
定年近くになると平均で約37万ほどになり1年あたりの退職金の増加分も次第に大きくなっていきます。
雇用施設別に退職金を比較
- 国立病院
- 公立病院
- クリニック
- 私立病院
- 日本赤十字
国立病院はかなり高レベルの退職金を受け取ることができます。これは、国立病院勤務の看護師が公務員として扱われていることによるものです。また、「国家公務員退職手当法」という法律に基づいて退職金の支給が定められているため、金額の変動はあるものの、退職金は確実に支給されます。
非管理職の看護師で定年退職した場合、約1800万円、看護部長の場合は約2400万円となっています。
他のどの雇用施設よりも高い退職金水準といえるでしょう。
公立病院の看護師は地方公務員として扱われ、地方公務員法に基づいて退職金が支払われます。
したがって、国立病院同様に金額の変動はあるものの、退職金は確実に支給されます。
公立病院の看護師の退職金の相場は約1700万円程度で、国立病院の水準に次ぐ高い水準の退職金が期待できます。
一般に、県立、市町村立の病院よりも政令指定都市の病院のほうが退職金の水準がやや高い傾向があります。
クリニックの場合、国立、公立病院と異なり、退職金の支払いが絶対というわけではありません。
退職金制度を多くのクリニックは導入していますが、長期的に勤務する看護師が少なく、数年でほかの病院へ転職する場合が多いので、多額の退職金が支給されることはあまりありません。
また、看護師自身もクリニックで働く場合、それほど退職金を重視していない場合が多いようです。
私立病院、大学病院に関しては病院の運営方針により、退職金は異なります。
しかし、退職金の算出方法は基本給をベースに計算する場合が多いので、高い退職金を受け取りたいのであれば、高水準の月給の病院での勤務をお勧めします。
また、公務員に準ずる扱いであるため、たとえ勤務中の月収が他の病院に比べて少なかったとしても、
その分最後まで務めた時の退職金や保証の制度は格段に充実しているということです。
少し特殊なのが日本赤十字病院。日赤は赤十字の事業のうちのひとつで公的な機関として扱われます。
そのため、職員は公務員に準ずる待遇をうけることになります。
仕事内容はかなりハードな職場ですが、福利厚生、扶養手当は充実しています。
また、通常3年以上の勤務が退職金受給の条件になる場合が多いですが、日赤の場合は在職1年以上で退職金を受け取ることができます。
退職金金額の水準もかなり高く、国立、公立病院水準の退職金額が期待できるでしょう。
正看護師と准看護師の退職金の違いは?
正看護師と准看護師の退職金の金額の違いにはどの程度の差があるのでしょうか?
定年まで働いた際の退職金を上記の4つの算出方法でそれぞれ考えてみました。
正看護師の平均月収は33万、准看護師の平均月収は28万円となっています。
この数値をもとに退職金を求めていきます。
- 基本給×勤続年数のパターン
- 勤続年数×固定金のパターン
- 勤続年数に応じて退職金が定められているパターン
- 基本給×勤続年数×功績倍率のパターン
資格 | 計算方法 | 退職金 |
---|---|---|
看護師 | 基本給33万円× 勤続年数40年 | 1,320万円 |
准看護師 | 基本給28万円× 勤続年数40年 | 1,120万円 |
今回は固定金がどちらも30万であると仮定して計算してみます。
資格 | 計算方法 | 退職金 |
---|---|---|
看護師 | 固定金30万円× 勤続年数40年 | 1,200万円 |
准看護師 | 固定金30万円× 勤続年数40年 | 1,200万円 |
このパターンの場合、病院の就業規則により退職金が定められているので、一概に計算式から退職金を算出することはできません。
しかし、大半の病院では勤続年数に応じて退職金は増額するので、勤続年数が長ければ長いほど看護師、准看護師ともに退職金は増えていきます。
今回は功績倍率がどちらも1.5であると仮定して計算してみます。
資格 | 計算方法 | 退職金 |
---|---|---|
看護師 | 基本給33万円× 勤続年数40年× 功績係数1.5倍 | 1,980万円 |
准看護師 | 基本給28万円× 勤続年数40年× 功績係数1.5倍 | 1,680万円 |
このように、退職金の算出方法によって看護師と准看護師の間にどの程度の差が出てくるかどうかは変わってきます。
平均月収が看護師のほうが准看護師よりも高いため、基本給をもとにした退職金の算出方法だと、勤続年数が長ければ長いほど看護師と准看護師の退職金の金額には開きが出てくることがわかります。
退職金の金額に関して交渉の余地はある?
退職金に関しては採用時に提示される就業規則の中に記載されています。
就業規則の退職金に関する条件に照らし合せ、自分の退職金の金額が妥当であるかどうか判断することが重要です。
ただ、就業規則で定められた条件を退職時に変更してもらうことは現実的に困難な場合が多いです。
退職金をいい条件で受け取るためにも、採用時の交渉であらかじめ退職金に関して交渉することをおすすめします。
看護師転職サイトのキャリアコンサルタントに相談すれば採用時の退職金交渉に関してもサポートしてくれます。
利用登録はほとんどの転職サイトでは無料なので、退職まで長期的に見据え、いい条件で働くためにも転職サイトの利用をお勧めします。