制吐薬の副作用 として精神症状が発症した症例から治療と看護を考えてみましょう。
- ドパミンD2受容体に作用する制吐薬(セレネース、ノバミン、プリンペランなど)の副作用として「アカシジア」(錐体外路症状)が起こる。
- 「多動」「興奮」「激昂」など精神症状を 伴うため、精神症状と誤解されやすい。
- パーキンソン様症状と異なり、投与直後や増量時にも発症する。
制吐薬の副作用
アカシジア
日常の臨床で、下記のような患者さんを経験したことはないですか?
この症例では、医療用麻薬のオキシコンチン錠(一般名:オキシコドン)の副作用対策として使われている制吐薬ノバミンの副作用として、「アカシジア」(錐体外路症状)を引き起こした可能性があります。
制吐薬には、受容体の親和性によってアカシジアが起こりやすい薬剤があります。
「イライラする」などの 訴えは見逃さずに、きちんと医師や薬剤師と相談しましょう。
さらに、がん患者の吐き気は様々な原因で起こってしまうため、原因を見きわめたうえで制吐薬を選択することも重要なポイントです。
制吐薬の副作用として起こるアカシジアと、吐き気のメカニズム・ 原因についてご紹介しましょう。
症例
症例 | 看護師:「ハナコさん、今日は2コース目の化学療法ですよね、調子はどうですか?」 ハナコさん:「いいわけないでしょ!抗がん剤の副作用でもう最悪なんだから!あ..ごめんなさい。なんだかイライラしちゃって。最近よく眠れないし..」 |
現病歴 | ●再発乳がん治療のため、外来通院しながら化 学療法を実施中のハナコさん ●がんの進展に伴い痛みが強くなってきたため、 数日前より医療用麻薬のオキシコンチン錠の投与を開始たところ。 |
状況 | ●2コース目の化学療法を受けるため来院したが、これまでと様子が違うことに看護師さんが気づいてハナコさんに声をかけみた。 ●今日は普段穏やかなハナコさんの様子と全く違って、ピリピリしている。 ●オキシコンチン錠の併用薬には、下剤のマグミット錠と、吐き気止めとしてノバミンも処方されていて、同時に服用を開始していた。 ●ハナコさんは抗がん剤の副作用や将来のことで、ずいぶんと辛そうに見える。 |
原因と症状
薬原性錐体外路症状は、ドパミンD2受容体に作用する薬剤(抗精神薬や一部胃腸薬など)による副作用として知られています。
「アカシジア」は、パーキンソン様症状 や筋失調反応と同じく発症する錐体外路症状の1つであり、多動(静座不能)や興奮、激昂などの精神症状を伴う副作用症状です。
これにより、元来の疾患に伴う精神症状の現れと誤解されやすく、不適切な薬物の追加投与などによって、より悪化してしまい、自傷行為や自殺企図となることも考えられます。この症状に対する患者の苦痛は大きいです。
すみやかな鑑別と対処が求められす。
アカシジアはパーキンソン様症状とは異なります。投与直後や増量時にも発症するんですよ。この点はあまり知られていません。そのため対応が遅れてしまうことが多いのです。
アカシジアが起こりやすい薬剤で、例として挙げたノバミンでは、4人に1人もアカシジアを発症する可能性があるんですよ!
それだけではありません。
制吐薬のなかでもドパミンD2に作用する薬剤は、アカシジアを起こす可能性が潜在されています。この作用機序を持つセレネースでは、じつに投与された患者の 40~50%と高い確率で発症するとされています。
また、胃薬として使用されることの多いプリンペランもドパミンD2を介する薬剤なので、アカシジアの危険性があります。これらの薬剤が投与されている患者には、注意深く観察していきましょう。
原則、アカシジアの原因となる薬剤の投与を中止する薬物療法として、抗コリン薬・抗ヒスタミン薬・β遮断薬・ベンゾジアゼピン系鎮静薬などが有効抗コリン薬はせん妄・幻覚を起こす可能性があります。高齢者やせん妄既往患者は注意しましょう。
アカシジアだと判断できた場合、通常、原因薬剤の投与を中止します。ただしすでに投与が長期にわたっていた場合(1か月以上)は、急に中止すると逆に症状が悪化することもあります。
その場合、 徐々に投与量を減らしていくなどの工夫が必要となります。アカシジア自体への薬物療法には、抗コリン薬・抗ヒスタミン薬・β遮断薬・ベンゾジアゼピン系鎮静薬などさまざまなものがあります。したがって、その選択については医師、薬剤師に相談すると よいでしょう。症例のハナコさんの場合では、まずアカシジアの原因と考えられるノバミンを中止します。
さらにまだ吐き気が伴っています。その際は、薬物療法としてヒスタミン Hi系やアセチルコリンのムスカリン(ACh-M1)受容体をブロックする抗ヒスタミン薬、抗コリン薬が選択肢となります。これらの薬剤は、発症していると思われるアカシジアにも有効なので、症状の改善が期待されます。ただし、抗コリン薬は高齢者やせん妄の既往歴がある患者では、せん妄の再発や幻覚が起こる可能性があるので、投与時は注意が必要ですよ!!
吐き気止めとして使用される主な薬剤(保険適用外)
一般名(略語) | 商品名 | 薬価 |
---|---|---|
プロクロルペラジン | ノバミン | 5mg錠(9.60) |
ハロペリドール(HPD) | セレネース | 075.1mg錠(7.80) |
ペロスピロン塩酸塩水和物 | ルーラン | 4mg錠(23.10) |
オランザピン(OLP) | ジプレキサ | 2.5mg錠(134.60) |
リスペリドン(RIS) | リスパダール | 1mg.OD錠3(7.80) |
クエチアピンフマル塩酸(QTP) | セロクエル | 25mg錠(47.20) |
アリピプラソール(APZ) | エビリファイ | 3mg錠(94.40) |
クロザピン | クロザリル | 25mg錠(85.30) |
薬価は2011年1月現在で、最小規格製剤1錠あたりの代表的な価格となります。 |
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参考元:エキスパートナース(2012年1月号)
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